世界で最もメタバース環境が整っているのはオランダ、日本は31位

2022/11/25

英価格比較サービスサイト「Uswitch」が、世界各国・地域のメタバース提供環境について発表した。最もメタバースに対応している国はオランダで、日本は世界で31位だった。

メタバースが一般に広く浸透し快適に使用されるためには、膨大なデータをスムーズにやりとりできる非常に高速のネットワークが、手頃な価格で利用できるようになる必要がある。そのために必要なブロードバンド速度は少なくとも1000Mbpsと指摘されており、メタバース事業への注力から社名をFacebookから変更したMeta社などが、2022年1~5月の間にインフラ整備や技術開発に費やした投資額は1200億ドル(16兆7000億円)以上という。

発表された調査結果によると、最もメタバース環境が整っているのはオランダで、スイスとリトアニアが続く。オランダは固定ブロードバンド速度の中央値が106.51Mbpsで、ブロードバンドパッケージ額は月額46.17ドル(約6000円)だった。ブロックチェーン金融サービスのスタートアップ数は 人口100万人あたり14.77社で、21年のハイテク輸出額は1人あたり5770ドル(約80万円)、年間のメタバースに関するGoogle検索回数は100万人あたり2万4137回だった。固定ブロードバンド速度の中央値が世界で最も高く、メタバースで要求される速度に一番近いことが評価できるという。またハイテク輸出額の高さも、メタバースを率いる国の一つに判断できるという。

スイスは固定ブロードバンド速度の中央値 が122.76Mbps、月額のブロードバンドパッケージ額は63.73ドル(約9000円)。ブロックチェーン金融サービスのスタートアップ数は人口100万人あたり36.91社でオランダを上回る。21年のハイテク輸出額は1人あたり4391ドル(約61万円)、年間のGoogle検索回数は100万人あたり3万238回だった。ハイテク輸出額はオランダにわずかに及ばないものの、ブロックチェーン金融サービスのスタートアップ数が大規模で、今後のメタバースのキープレーヤーとなることが予想されるという。また国民100万人あたりのメタバースに関するGoogle検索数は、最も多かった。

リトアニアは月額のブロードバンドパッケージ額は11.13ドル(約1500円)と最も安価。ブロックチェーン金融サービスのスタートアップは 人口100万人あたり17.17社だった。

日本は世界で31位で、固定ブロードバンド速度の中央値が131.86Mbps。ブロードバンドパッケージ額は月額47.23ドル(約7000円)だった。ブロックチェーン金融サービスのスタートアップ数は 人口100万人あたり1.0社で、21年のハイテク輸出額は1人あたり927ドル(約13万円)、年間のメタバースに関するGoogle検索回数は100万人あたり1273回で、ランキング中で際立って少なかった。

インターネットの平均速度が最も速い国はアメリカで、167.36Mbps。アメリカはインターネット接続が非常に良好で、利用者数は中国、インドに次いで3番目に多く、人口の90%以上が利用している。最も安価にインターネットが利用できる国はルーマニアで、月額9ドル (約1200円)。ランキングにリストアップされた国の平均の4分の3程度に抑えられている。

メタバースにとって不可欠なブロックチェーン技術を扱うスタートアップ数が最多だったのはキプロスで、人口100万人あたり42.8社。人口100万人あたりのメタバースに関するGoogle検索数も3万4082回と、最も多い。キプロスは暗号資産の規制がなく、国をあげて暗号資産やブロックチェーン技術に肯定的なスタンスをとっている。また国内の大学で、メタバースの普及に焦点を当てた「オープン・メタバース・イニシアチブ」の立ち上げや、世界で初の暗号資産による学位授与なども行っている。