FTX破綻で「広告塔にも責任」エンゼルスの大谷選手、大坂なおみ選手らを提訴

2022/11/17

経営破綻した大手暗号資産取引所FTXトレーディングに損害賠償を求め、同社とサム・バンクマン・フリード前最高経営責任者(CEO)が米フロリダ州南部の米連邦地裁に提訴された。FTXのグローバルアンバサダーを務めていた米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手ら11人のアスリートや著名人も「出資金詐欺に誘い込んだ」として訴えられている。

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提訴したのは、FTXを利用していた投資家で米オクラホマ州に住むEdwin Garrison氏。Garrison氏は、同社は集めた資金を関連会社に流用して流動性を維持する「ねずみ講」であり、投資家に対し詐欺行為を働いたとして、大谷選手のほか、プロテニスの大坂なおみ選手や米プロフットボールNFLバッカニアーズのトム・ブレイディ選手、米プロバスケットボールNBAウォリアーズのステフィン・カリー選手、ブレイディ選手の元妻でモデルのジゼル・ブンチェン氏など、同社の「広告塔」を担っていた著名人にも賠償責任があると主張。FTXによる損害額は全米で計110億ドル(約1兆5300億円)に上ると訴え、FTXを利用していた投資家による集団訴訟の認定を求めている。

大谷選手は2021年11月、FTXのグローバルアンバサダーに就任し、報酬はすべて株式と暗号資産で受け取る長期契約を結んでいた。FTXは米MLBの公式スポンサーで、審判の制服へもロゴを提供している。

FTXは11日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻している。FTXの新CEOであるJohn J. Ray III氏は提訴されていないが、ロイター通信によると、申し立てについてのコメントを拒否しているという。

暗号資産の宣伝行為をめぐっては、米証券取引委員会(SEC)が10月、米タレントで実業家のキム・カーダシアン氏を提訴。暗号資産のイーサリアムマックスを自身のInstagramで宣伝した際、同社から25万ドル(約3500万円)の報酬を受け取っていることを明らかにしておらず、米証券法に違反したとして、100万ドル(約1億4000万円)のペナルティーを含む制裁金126万ドル(約1億8000万円)の支払いとともに、今後3年間いかなる暗号資産の宣伝行為にもかかわらないことを科せられている。