経団連がWeb3国家戦略を提言「国越えた制度設計を」

2022/11/16

経団連は11月15日、Web3推進に関する国家戦略提言「web3推進戦略―Society 5.0 for SDGs実現に向けて―」を発表。今後 Web3 を活用するため、国内だけに閉じた「ガラパゴス」的な制度ではなく、国境を越えて活用することを前提とした制度設計の必要性などを訴えた。

提言では、目指すべき「Web3先進国」の姿として
1:Web3 関連事業を行うための環境やインフラが、法制度を含め包括的に整備されている
2:Web3 に関するグローバルスタンダードを技術・制度の両面でリードし、各国の人材・企業から選ばれる
3: Web3 が SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する手段、考え方として活用される

の3つの要素を、2025年中に満たすことが必要と主張。そのために直ちに取り組むべきこととして、トークンの保有と投資、流通への促進をあげている。

また、今後求められる関連分野の施策として、NFT、分散型自律組織(DAO)、メタバースをあげ、分野ごとの議論や環境整備を着実に進めることで「各々の技術発展が相互にもたらすメリットを最大限活用することが求められる」と説明。NFTは、地方創生などで既に活用されているほか、日本が強みを持つアニメなどの各種コンテンツの流通活性化に寄与し得る。著作権や利用者などの保護の不可欠さに加え、流通をさらに活性化するために国内法令上の暗号資産への該当性や、NFT のランダム型販売について賭博罪への該当性をより明確にすることが必要と述べている。

DAOは、現状は人を介さずスマートコントラクトのみでの確実な運用に成功している事例は少ないが、日本としては積極的に活用を検討すべきだと表明。より効率的に運営するための活用事例の蓄積が待つとともに、DAO の法的位置づけや責任のあり方などについて、継続的に検討すべきであるとした。

メタバースのあり方については「Web3 とは峻別して議論する必要がある」と指摘。既に活用が進んでいるゲーム分野に限らず、教育や医療などあらゆる分野に多大な影響を及ぼし得る可能性があるのは、新型コロナウイルス禍でのデジタル活動の広がりで明確であり、メタバース産業育成のためには、3DCGなど関連する各種国産技術の開発、育成支援を進める必要があると説明。メタバースプラットフォーム同士の連携に向けた環境の整備も必要で、とりわけメタバース上の意匠権や著作権、二次創作などに関する権利や、 メタバース上で蓄積される膨大なデータの取り扱いについては、今後の活用事例を踏まえて各国と協調しながら検討すべきとした。

一方で、将来的にはメタバースの没入感がより高まることで過度な依存などの問題が生まれる可能性についてもふれた。「メタバースの活用が人々の well-being を阻害することのないよう、実状を踏まえつつ、サービス提供事業者の自主的取り組みの支援などについても検討していく必要がある」とも述べている。