離島の課題をメタバースで解決、NTTなどが瀬戸内海・男木島を再現

NTTとNTT西日本香川支店は11月15日、NPO法人男木島生活研究所、ケノヒと共同で、メタバースによる関係人口創出・拡大を目指す「TENGUN Ogijimaプロジェクト」に関する検討を始めたと発表した。瀬戸内海に位置する高松市の男木島を対象に、メタバースを活用して離島を中心とした地域の抱える課題解決に取り組むという。

全国的な少子高齢化や都市への人口集中で、特に離島地域は、物流や介護、教育などの制約の解消にICT活用が求められている。NTTグループは2019年から、高速大容量通信や膨大な計算リソースなどが提供できるネットワーク・情報処理基盤の構想「IOWN構想」を掲げ、持続可能な共生社会の実現を目指しており、NTT西日本も21年、地域活性化に取り組む自治体や企業、組織などの活動をサポートする「地域創生Coデザイン研究所」を設立。西日本管内の30府県で、地元パートナーとともに地域が抱える課題の解決策を創出する活動を進めており、香川県では男木島をはじめとする離島地域の存続に向け、ICTを活用した新規事業の創出に取り組んでいる。

男木島は人口160人ほどで、うち約6割が高齢者が占めている。人口は自然減状態で、その地に住む「定住人口」や観光に来た「交流人口」ではなく、地域外からその地に愛着や関心を持って多様に関わる「関係人口」による地域づくりに期待が高まっている。

TENGUN Ogijimaプロジェクトでは、3D点群データなどの情報をもとに、男木島を没入感の高いサイバー空間で再現。メタバース上で現地そのものの自然に触れながら、島民との出会いや交流を促し、島での生活を体感してもらうことで愛着を醸成し、関係人口の創出・拡大や、離島地域が抱える課題解決を目指す。

まずは、11月16〜18日にオンライン開催される「NTT R&D FORUM ― Road to IOWN 2022」で、NTT研究所で開発中の3D空間メディア処理技術などで再構築された「男木島メタバース」のデモンストレーションを実施する。その後、現地関係者と具体的な空間の活用法を検討し、可能性や価値、ビジネスモデルを検証。早期の社会実装を目指すという。