Binance、FTXの買収方針を1日で撤回「管理や支援能力を超える」
西沢 裕子
2022/11/10
大手暗号資産取引所のBinance(バイナンス)は11月9日、8日に合意していた競業大手FTXトレーディングの買収方針を撤回すると発表した。FTXのデューデリジェンスの結果を受けて決定したという。FTXはコメントなどを明らかにしていない。
BinanceはTwitterで「デューデリジェンスの結果、資金の取り扱いの誤りや米政府機関による調査を受けて、買収を追求しないことを決めた」と説明。「(買収の合意)当初は、FTXの顧客に対してサポートできることを望んでいたが、問題は私たちの管理や支援能力を超えている」と述べている。
FTXは、最高経営責任者(CEO)のサム・バンクマン・フリード氏が運営する関連会社のアラメダ・リサーチに財務懸念があることが発覚し、発行するトークン「FTT」の価格が急落。FTXの財務不安へと波及して顧客の資金引き出しが急増し、Binanceに支援を求めていた。8日にはBinanceによるFTXの救済買収が発表されたが、合意は拘束力がないもので、数日内のデューデリジェンス実施も表明されていた。実現すれば暗号資産取引業では最大級のM&A(合併・買収)になるとみられていた。
FTTの価格は下落が続いており、9日夕方には前日の約半値の2ドル台で推移している。9日午後には、ユーザーによる資金の引き出しも停止。また、資金流出傾向は暗号資産全体にも影響しており、Binanceの発表を受けて、ビットコインの価格は一時1万6000ドルを割り込んでいる。
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