「フィットネスのWeb3エコシステム、構築目指す」 OliveX CEO・Keith Rumjahn氏

2017年に香港発のWeb3企業Animoca Brandsの子会社として設立されたOliveXは、フィットネス系アプリやゲーム、メタバースの開発で知られる。オーストラリア証券取引所に上場した2020年8月には、Animoca Brandsからスピンオフ。彼らが構築する「フィットネスメタバース」の魅力や今後の展開について、日本を訪れたOliveXの創業者 兼 最高経営責任者(CEO)のKeith Rumjahn(キース・ランジャン)氏に聞いた。
――Web3.0に関わり始めたのはいつからでしょうか?
私たちは、5年半ほど前に位置情報スマートフォンゲーム「Pokemon GO」に触発され、フィットネスゲームの開発を始めました。まず「Garfield Fit」というゲームを作ったのですが、その成功は長続きしませんでした。Garfieldは怠け者の猫ですからね(笑)。それでもとにかく、フィットネスアプリをたくさん作り続け、最終的に500万ダウンロードを達成しました。
しかし、フィットネスゲームアプリの開発の問題点は、継続して使ってもらえる確率が非常に低いことです。人々はフィットネスアプリを常に変えています。そこで、私がヒントを得たのはNFTゲームの「Axie Infinity」です。
Axie Infinityは、30日後の継続率が80パーセントです。絶対におかしいくらいの継続率でしょ? もしフィットネスに彼らの要素を取り入れて、30日後に80パーセントの人を定着させられたらどうだろう? 世界中がスーパー・フィットネス・ワールドになるはずです。それを目指して、私は5年間この業界にいます。
――Animoca Brandsとはどのような関係性がありますか?
10年前、28歳の時にAnimoca Brandsの創設者であるYat Siuが、私たちの会社に投資してくれました。
それから5~6年後、アメリカの企業から買収の申し出がありました。私はまず、Yatを含む投資家のみんなに会社を売りたいと言ったんです。すると彼は、「ダメだ、ダメだ、私のオフィスに来い」と言うんです。
はじめは「この投資家は私の取引を妨害するつもりだ」と思いましたね(笑)。
でも、その後、彼は「私の会社に入らないか?」と言いました。「それなら会社を買ってあげるよ」と。私は、彼のビジネスに参加したいと思いました。学びを最大化したいし、そこから多くを学ぶことができると感じたからです。だから私は、Animoca Brandsに買収されることを選びました。
もっとも、買収された後は退任しようと思っていました。「誰かに指示されて仕事をしたくない」というのが私のDNAなんです。するとYatが「君は新しい会社を作れ、私はその会社に投資する」と言うではありませんか。それがOliveXを始めた理由です。
――生まれつきの起業家気質なんですね。まずOliveXという会社やビジネスについて教えてください。
5年半前にOliveXを立ち上げ、フィットネスメタバースを構築しようとしています。私たちはそれを「フィットネス4.0」と呼んでいます。
フィットネス1.0はDVDでした。2.0はオンデマンドのライブストリーミング、3.0はゲームとしてのフィットネスです。しかしこれらはすべて個別のものです。
これらが相互に接続されたり、報酬としてNFT Tシャツを得ることができたりしたらどうなるでしょうか。私のサイクリングゲーム、ローイングゲーム、ピラティスゲーム、ヨガゲームが何でも、すべて相互接続で使用することができます。例えばランニングゲームの「Dustland Runner」、サイクリングゲームの「Dustland Rider」は、両方とも走った距離に比例して暗号資産「DOSE」がもらえます。。
また、私たちは投資家として、「Meditate to earn」や位置情報ゲームにも投資しています。
最近は、フィットネスに関するエコシステムを構築したいと考えています。ちなみに、フィットネスとは何でしょうか? 人々は一つのことだけをやっているわけではありませんよね。ランニングもするし、ヨガもする。泳ぐ人もいるし、テニスをする人もいます。だから、みんなのために複数の遊び、フィットネスを用意する必要があるということです。
――今年OliveXがリリースした、オーディオフィットネスブロックチェーンゲームの「Dustland」についてはいかがでしょうか。

まず、ゲームの作り方に特徴があります。ゲームを作る際の最大のリスクは、ゲームがなかなか完成しないことです。大半のスタジオは10本のゲームを作り、そのうち9本は捨てて、良いものだけを世の中に出すという方法が多いのですが、私たちは、すでにたくさんの経験があるのでそういうやり方ではありません。
例えば「Zombies,Run!」というゲームがありますが、これは市場でナンバーワンの有料フィットネスゲームで、5万人の加入者がおり、Web2.0の世界ではすでに認知を得ています。そして、とても良いことにコミック出版社マーベルとこの分野で最初に契約した会社となりました。
来年の第1四半期には、マーベルコミックのキャラクターであるスパイダーマンやドクター・ストレンジなどと一緒にフィットネスゲーム上でランニングができるようになります。Dustland Runnerにもこうした、Web2.0で有力なコンテンツとコラボレーションする手法を取り入れたいと考えています。
2点目は、私たちはユーザーを獲得するためには、ゲームデザインにおいて、コアとなる反復性と本質的な価値が必要だと考えています。
ランニング中に「RunKeeper」などのアプリを使うと、走り終わった後にはポイントでバッジがもらえますよね?
でもそれは、本当のゲームのバリューではないと思っています。本当のゲームの価値とは、走っているときに生まれるはずです。なぜ運動しているのか。運動は楽しくするものでしょう? そこで、私たちはオーディオを用意しました。走っているときに、音や追いかけてくるものが聞こえ、ストーリーがあります。
このように、私たちのゲームは楽しいと思いますし、素晴らしいテイストを作り上げてきた歴史があります。
――あなたのビジネスにはどんなポテンシャルがあり、どんな社会的課題を解決できると思いますか?
まず、デジタル上の財産権について説明しましょう。
今、フィットネスアプリを使って、ランニングをしたり、アプリを使ってヨガをしたりしても、その対価を受け取ることはできません。ユーザーは何も得られないのです。1年、2年、3年と使い続けて、そのゲームやサービスが閉鎖することになったら、何も手に入りません。何もないんです。それを変えたいと思っています。
なぜなら(現在のWeb2.0モデルでは)、ほとんどのお金を稼いでいるのは中間業者だからです。誰が中間業者なのか? フィットネスのアプリを見ると、一番もうかっているのは、実は「Google Play」と「App Store」なんです。アプリのデベロッパーは30パーセントの手数料を取られています。アプリ開発者としては、それを排除したいわけです。
また、フィットネスアプリの最大の問題は、どうやってユーザーを獲得するかということです。ユーザーを獲得するために、彼らは広告にお金をかけます。Facebook広告やGoogle広告など、予算の50パーセントを広告に費やしています。もし、彼らが持っている広告費をすべて、直接ユーザーに還元したらどうでしょうか? どんなに素晴らしいことでしょう。
ゲームも同じですよね? マルチプレーヤーゲームは、プレーヤーがいなければ、何の価値もありません。だから、彼らに報酬を与えるべきなのです。
最後に、ランニングをするときにGPSのルートがあるとしますよね? そのデータは、「Uber」「Lyft」などの配車アプリ会社に売られています。あなたのデータは毎日売られているのです。私はこの問題を解決したいんです。一言でいえば、デジタルデータの権利のようなものを顧客に返したいと思っています。
ユーザーリテンションのために、私たちはDOSEというトークンを持っています。DOSEとは、「ドーパミン・オキシトシン・セロトニン・エンドルフィン」の頭文字から取っており、運動や瞑想をしたときに得られるすべての化学物質のことです。
つまり、我々にはトークンがあって、NFTがあるのです。基本的に、走るとトークンが得られ、NFTが得られるのですが、それだけがメインではありません。
というのも、走るだけだと、ゲームの中では少しの報酬しか得られません。簡単に1日に100ドル稼げるようなサービス設計はしていません。でも、最初に少しでも報酬を得れば、時間が経つにつれて、どんどんゲームを好きになってくれるでしょう。そうやって、リテンションの問題を解決し、頭の中に常に報酬のことがあるような形ではなく、素晴らしいゲームを作っていくことでフィットネスを変えていきたいのです。
――NFTやメタバースのプロジェクトなど、今、特に興味のある企業はありますか?

(日本のNFTプロジェクト「遊戯苑 ¥U-GI-¥N」の写真を指差して)実はこれは面白いんです。日本のローカルチームが、日本独自のNFTを作り、日本市場から世界に向けて販売されるという点は興味深いです。
日本市場は規制のため、Web3.0は立ち上がったばかりだと思います。そのため、私は日本に対して大きなポテンシャルがあると思っています。すべてのmove to earnゲームにおいて、最もプレーヤーが多い国が日本だと思うからです。
私は考える理由の一つは、日本人は、人口密度が非常に高く車を運転しない人が多いので、よく歩くんですね。また、2つ目は、当初から適切なマーケティングがされていること。それが大きな助けとなったことです。そして3つ目は、多くの日本人がすでにfフィットネスを含むゲームをプレーしていることです。
――今後の目標やチャレンジについて教えてください。
課題は山ほどあります。しかし私たちが作ろうとしているのはフィットネスメタバースで、フィットネスのあらゆる分野が網羅されているものです。(その分野で)新しいWeb3.0のユニコーンを生み出したい。ボート競技、サイクリング、ボクシング、VRやARなど、あらゆる分野で10億ドル規模の企業が誕生することでしょう。その全てに関わりたいと思っています。
短期的には、日本ではMove to earnが人気なので、日本が注目のエリアになると思います。だから、私は今日ここにいるんです。
日本では規制が多いので、チャレンジはたくさんあります。海外の人たちは、日本市場に参入するのは簡単だと考えているようですが、そうではなく、本当に難しいのです。市場が違いますからね。
しかし私は10年間ゲームやアプリの世界にいます。Animoca Japan(Animoca Brandsの日本の戦略的子会社、Animoca Brands株式会社)とも協力して、私たちのゲームが日本市場に参入できるように、そしてすべてのユーザーに利用してもらえるようにしたいと思っています。
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