「アートとは脳の認知革命」村上隆さんのNFT作品を体験できる個展、NYで開催

2022/06/23

現代美術家として国際的に活躍する村上隆さん。最近は「Clone X」や「Murakami.Flowers」といったNFTアートのシリーズ作品(コレクタブル)でも注目されている。そんな活動が評価され、米ニューヨークで開催中の「NFT.NYC 2022」のアワードでは、「Best Traditional Artist turned NFT Artist」に選ばれた。

このNFT.NYCと重なる時期に、ニューヨークのギャラリー「ガゴシアン(Gagosian)」で、NFTをテーマにした村上さんの個展が開かれている。展覧会のタイトルは「An Arrow through History(歴史を射抜く矢)」。ユーラシア大陸に起源を持つ伝統的な芸術とNFTに象徴される最先端のアートを「一本の矢」で貫く。そんなコンセプトの企画展だ。

「An Arrow through History」の会場はニューヨークのガゴシアン・ギャラリー

ニューヨークのセントラルパークから歩いてすぐのところにあるガゴシアン・ギャラリーを訪れると、村上さんの作品は3つの会場に分かれて展示されていた。「Clone X」と「Murakami.Flowers」、そして、村上さんが中国の古い磁器に触発されて描いた「魚のペインティング」という3つのコーナーだ。

NFTコレクタブルとして人気の「Clone X」がリアルな作品に

NFTコレクタブルとして世界的に屈指の人気を誇るClone X。その作品を展示する会場では、もともとはバーチャルなNFTアートとして誕生し、多くの人に所有されるようになったClone Xのキャラクターたちが「リアルな絵」となって飾られている。その中央には、Clone Xをモチーフにした等身大のフィギュアが置かれていて、リアルな身体感覚を呼び起こす。

Murakami.Flowersの展示会場では、若者が記念撮影をする光景が見られた

一方、村上さんの過去の作品のモチーフにもとづく「Murakami.Flowers」の会場は、壁一面がカラフルなMurakami.Flowersのアイコンで埋め尽くされていた。こちらでは、スマホアプリ「Snapchat」のレンズ機能を使うことで、会場の床から草が生えてくるというAR(拡張現実)を楽しむこともできる。

中国王朝の磁器に触発されて、村上さんが描いた魚のペインティング

もう一つの会場に展示された魚のペインティングは、大阪市立東洋陶磁美術館に所蔵されている、中国・元王朝時代(13〜14世紀)の青磁の花瓶にインスパイアされた作品。村上さんが子供時代に父と魚釣りに出かけたときの記憶も重ね合わせているという。Clone XやMurakami.Flowersとは対照的に、人類の長い歴史や過去の体験への郷愁を感じさせる。

さらに今回は、ニューヨークのリアルなギャラリーだけでなく、インターネット上のバーチャルな展示会場も用意されている。現地に足を運べない人は、パソコンなどでVR空間にアクセスし、会場の中を動き回りながら、村上さんの作品を鑑賞できる。

NFTアートに意欲的に取り組む村上さんのメッセージが掲げられていた

ギャラリーのプレスリリースの中で、村上さんは「アートとは脳の認知革命を起こすことだと考えている」とコメントしている。リアルとバーチャル、過去と未来が融合した今回の企画展は、訪れた人々の脳にさまざまなイメージを想起させる仕掛けに満ちていた。

村上さんの個展「An Arrow through History」は6月25日まで開催されている。