油絵の世界からやってきたGoro氏が予想する「今後50年のNFT」【NFT.NYC】

美大で油絵を専攻し、画家を目指していた経験を持つGoro Ishihata氏。ある日NFTのことを知り、自分の技術を活かして活躍できると、NFTアーティストとしての活動を開始する。自分自身や作品の価値、将来性などの印象を高めるため、独特かつキャッチーなコンセプトで作品を作り続け、多くのファンを魅了している。「NFT.NYC 2022」の出展アーティストであるGoro氏に、現在の活動に至る経緯やNFTの将来像について聞いた。
■NFTと出会い、指がおかしくなるまで描きまくる
――これまでのキャリアや現在の活動の背景を教えてください。
画家を目指し、美大で油絵を専攻していました。しかし、画壇や美術団体などと関わるのを苦手に感じていたため、学校を卒業してからは、全く関係ない仕事をしながら絵を描き続けていました。
そのうち負債を抱えるようになって、この先どうしようかなと……。そんな折、ニュースアプリの記事でNFTのことを知り、「これだったら絵の技術も活かせるし、一発逆転できるかもしれない」と思い、2021年からNFT作品を作り始めました。
――制作環境と作品の特徴を教えてください。
当初は、負債があるのにまた借金をして買ったiPadで作り始めました。最初の作品は「Genesis」です。その後、NFT作品から収益を得られるようになると、ジェネラティブアート(コンピューターソフトウェアによって生成される作品)を作るために、30万円ほどのPCを購入しました。
作品は基本的に毎日1枚以上作っています。数年経ってようやく全体像が見えてくるタイプの作品だと思います(「CryptoGoros」シリーズは、毎日1枚の自画像を作成するもので、2000体で完結するコンセプト。ジェネラティブアートの「MiniGoros」などのコレクションもある)。
――Twitter(@goroishihata)で多くのフォロワーを得ています。どのように周知していったのでしょうか?
最初は、Instagram(@goroishihata)に毎日3枚くらいmintしたNFTを載せていましたが、全く売れませんでした。試しにTwitterのアカウントを作って「fuck」などとツイートしていたら一瞬で何枚か売れたのです。その後、「発信する場所」をTwitterにして、フォロワーを増やすために、指がおかしくなるほど作品を作りまくって、ギブアウェイのNFTとして配布(自分のことを知ってもらうために、無料でNFTアート作品をプレゼントするキャンペーン)していました。
購入される方は、仮想通貨投資をしている日本の方が多いと思います。NFT界隈では、美術領域を専門とするクリエイターが意外に少ないため、私の作品は他のコレクションにない将来性を期待されていると感じています。
■ クリエイターが「非中央集権的」に収入を得られるNFTで世界が変わる
――NFT.NYCの「The NFT.NYC Diversity of Art Showcase」に選出されたことで、ご自身を取り巻く環境がさらに変わったのではないでしょうか。
NFT.NYCだから特にウケが良かったとか劇的にフォロワーが増えた、といったことはありません。「SolGoros(3000体のジェネラティブアート)」というコレクションを発表したときの方がインパクトは大きかったですね。
――3000とはインパクトのある規模感ですね。続いて、NFT.NYCに応募した作品や「The NFT.NYC Diversity of Art Showcase」で展示される作品についても教えてください。
NFT.NYC向けの作品は、毎日描いている自画像のシリーズをベースにしたものです。作品には特に思い入れはないのですが、自分のコレクションのイメージを、海外の方にもわかりやすく伝えたいということだけ考えました。
――NFT.NYCというイベントについて、どんなことを期待しているでしょうか?
まず、物理的な空間に自分の作品が展示されるということが素晴らしい点だと思います。作品を見た人がGoroをツイッター上のデジタルの存在としてではなく、よりリアルな人間として感じてもらえることを期待します。
また、このイベントが、NFTと接点がない方たちがマーケットに参入するきっかけになればと思います。現状NFTはどれだけ値段が高いか、取引量が多いかで価値が判断される状況なので、それ以外の美的な評価基準でNFTを評価するような取り組みとなってほしいです。

――現在取り組んでいること、またこれからやってみたいプロジェクトや活動はありますか?
縄文土器や油絵、美少女キャラでのVTuberデビュー、GORO教の教会づくりですね。
――今後、追々告知されていくのを楽しみにしています。アートと長年向き合ってきたGoroさんには、NFTアートシーンについてのお考えも聞いておきたいです。良いと思う面や改善すべき点など教えてください。
例えば「写真」というのは、技術の名前でしかなく、報道写真やグラビア写真、家族写真といったアートではない用途のものもたくさんあります。NFTも同じように本来技術の名前でしかないのに、素人が描いた無意味なイラストや、絵がついた草コインや会員証の役割でしかないものが「NFTアート」と呼ばれていることがかなり紛らわしいと感じますね。
一方で、例えば「CryptoPunks(クリプトパンクス。アルゴリズムによって生成された24×24ピクセルの画像によるNFT)」のようなものが全くアートでないかというと、それを完全に否定することはできません。自分は、CryptoPunksが大手オークションハウスのクリスティーズで出品されているのを見たとき、最新の現代美術を見たような衝撃を受けました(編集注:CryptoPunksの9つのコレクションは2021年5月、1690万ドルで落札された)。
今までの美術と対極にあるような、作家やコンセプトといったものから無縁のふざけたデジタルデータに人々が熱狂しているという事実自体が、ある意味でとても美術的であり、新時代の到来を予感させるものに感じられたからです。
「美術をやっているんだ」なんて言うと、少し前までは「絵なんかやっていても食えないぞ」とか「絵なんか買いたいと思わない」なんて言う人ばかりでした。しかし、NFTが登場してからは、今まで美術に全く縁がなかった人々までもが当たり前のように絵を買ったり、作ったりする状況が生まれているのは素晴らしいことだと思います。画壇やギャラリーに頼らず、クリエイターが「非中央集権的」に収入を得られるというNFTがもたらした仕組みは、今後大きく世界を変えていくのではないでしょうか。
■ Goroさんが描く2023年〜50年後の未来
――では、NFTアートシーンはどのように変化していくと考えていますか?
僕の中で50年後までの予想があるのでお話しします。ひどいことを言うとか、突拍子がないと思われるかもしれませんが、いちアーティストの意見として、聞くだけ聞いていただけたらと思います。
1年後も引き続き、玉石混交ともいえるNFTが量産されると思います。
2年後は、高校生がスマホでNFTを買ったり、NFTゲームをしたりすることが一般的になるでしょう。
3年後になると、各自治体がご当地NFTを発行するようになります。特定の場所でないとゲットできないARNFTや組み替えて進化できるNFTが流行します。
4年後には、バーチャルオフィスの入館証やライブのチケット、学生証のように、特定のNFTを持っている人のみアクセスできる場所や情報が増えます。仕事に学校、遊び……あらゆる活動が全て部屋の中だけで完結するようになります。リアルな世界では東京が廃墟となるかもしれません。
5年後になると、初期から活動しているNFTアーティストは、YouTubeでのヒカキンのような存在となり、小学生のなりたい職業ランキング2位となります。
8年後には、パスポートや健康保険証がNFTとなり、ハードウェアウォレットごと体の中に埋め込まれるようになります。人々はNFTによって効率的に管理され、反グローバル化する世界が訪れます。
10年後にもなると、「CryptoGoros」が国宝になり、六波羅蜜寺に安置されます。
50年後には、「MiniGoros」ホルダーたちが月に独立国家を建国します。
――とても興味深い未来予想ですが、「夢」とか「妄想」とはいえない内容だと感じてしまいます。最後に、これからNFTアーティストになりたい人にメッセージをお願いします。
昔、油絵を描いていた頃、あくまで私にとってはですが、上手いとか価値があるとは思えない(他の画家の)絵が高値で売れていることが腹立たしいと思うことがありました。
もしかしたら、今からNFTを始めようとしている人たちの中にも、昔の私のように、上手い絵が高く売れるべき、もしくは、もっと絵が上手くなれば高く売れる、と考えている人たちがいるかもしれませんが、それは間違っています。
どうやら、NFTでも普通の美術品でも「転売したいときに買いたい人がたくさんいるかどうか」で、市場価格が決まるようです。
言い換えると、描いた人や絵が有名なのか、または将来値上がりしそうと期待されるかどうか、ということです。
もしも、ご自身の作品にそれほど価値がついておらず、また生きるためにお金が必要なら、人々に対して、いかに自分には将来性があるかを伝える活動をして、少しでも有名になれるよう努力した方が良いです。私の経験上、本当に良い絵はすぐには描けないので、まずはお金をゲットしてからじっくり絵を描くと良いと思います。
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