「値段が高くて欲しい絵が買えない」文系ライターがNFTアートを買ってみた(後編)

試行錯誤の果てに仮想通貨の口座を開設し、イーサリアムを手にした僕だったが、購入したとたんに価格が急落するのを目の当たりにして、げんなりした。
前編はこちら:初めての「仮想通貨体験」文系ライターがNFTアートを買ってみた(前編)
だが、今回の目的はイーサリアムを保有することではなく、それを使ってNFTアートを買うことだ。そのためのステップを進めることにする。
次に行うのは、メタマスクと呼ばれるデジタルウォレット(電子財布)をインストールすることらしい。なんのことかよくわからないが、僕が使っているブラウザのGoogle Chromeの拡張機能で使えるみたいなので、すぐに拡張する。

そして、買ったばかりのイーサリアムをメタマスクに移す。これで、NFTを購入できるようになるということだ。なんだ、意外と簡単じゃないか。
僕はビットフライヤーの口座から0.015ETH(約7000円)をウォレットに移したのだが、この金額が後に仇となる。
■NFTのマーケットに来たのはいいが・・・
いよいよNFTを売っているマーケットプレイスにアクセスする。NFTのマーケットプレイスには様々なものがあり、それぞれ特徴があるのだが、ここは一番大きくて歴史も長いOpenSeaに決めた。

僕のような初心者は、なるべく冒険せずに無難なものを選んだほうがいいだろう。マイナーなサービスだと、詐欺などのトラブルに遭遇するリスクもあるからだ。
さあ、やっとNFTの市場にたどり着いた。
肝心なのはどのNFTを買うかだ。たまたま昔からの友人がイラストレーターをしており、NFTを出品している。応援する気持ちも兼ねて、それを買おうと思う。
さっそくOpenSeaで友人のアカウント名を検索すると、彼のページが出てきて、出品されているイラストがたくさん並んでいた! なかにはオークションになっているものまであって、有名ブロガーが落札していたので驚いた。
僕でも買えそうな手頃な価格のものを・・・と探してみたが、一次流通はすべて完売していた。つまり、友人自身が売り出したものはSOLD OUTだったのだ。結構な人気じゃないか。
そこで、二次流通で転売されているものを買うことにする。お手頃価格のNFTを探してみるが……ない。自分の想像していたのと桁がひとつ違うんだが……。一番安いものでも0.15ETH(約7万円)。原稿料が吹っ飛ぶ値段である。
彼はイラストをはじめてから、まだ半年しか経っていない。そんな彼の作品でさえも、一番安いもので7万円くらいするのだから、あらためて、NFTバブルというか、活況の渦というものを感じた。
仕方がない。ほかをあたることにしよう。
■「ガス代」が作品の値段よりも高かった
僕はドット絵が大好きなので、ドット絵で検索してみた。すると、ドット絵が好きな人が多いのか、おもいのほか、たくさん出てきた。
物色していると、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のドット絵があった。ひと目で気に入った。薄い色で構成されており、光を表現したと言えなくもない。お値段も0.003ETH(約1400円)とお手頃である。

「Buy now」のボタンを押す。ここから、長ったらしい認証その他があり、決済が完了するまでしばらく待たなければいけなかった。
40分くらいたって、決済が終わったらしいと気づいた。ウォレットのイーサリアムの金額を確認すると、予想以上に目減りしている!
いったいどこに消えたんだと多少パニックになったが、どうやらガス代というものらしく、結構な金額をもっていかれた。
ガス代というのは、イーサリアムのネットワークを使ってNFTを買うときにかかる手数料のようなもので、最近は価格が高騰しているらしい。決済のたびにウォレットから差し引かれてしまうということだ。
今回のガス代は0.004936ETH(約2300円)ということだから、肝心の絵の値段(0.003ETH/約1400円)よりも手数料のほうが高かったのである。

正直なところ、ここまでの諸々の作業で疲れ切っていた。だが、とうとうNFTを買うことができたようだ。僕のOpenSeaのページのコレクションというタブには、買ったばかりの作品が表示されていた。
これを増やしていけば、自分だけのアートコレクションの出来上がりというわけだ。
■新しいアートの価値基準が生まれている
今回、初めてNFTアートを買ってみて感じたのは、実体のないものにおカネを払う不安である。
アートを所有しているといっても、デジタルなのだからパソコンがクラッシュしたら終わりなのでは? 仮にクラウド管理だとしても、そのサービスから消えてしまう恐れはないのか。
そんなことについて調べるだけでも労力を使う。新たに覚えることが多すぎて、僕のようなおっさんは、慣れるまで時間がかかるだろう。いまはブームになっているが、誰もがNFTアートを購入するようになるかというと、ちょっと疑問である。
一方で、NFTの登場によって、新しいアートの価値基準が生まれているのだということも感じた。
OpenSeaのようなNFTのマーケットプレイスでは、既存のアート界とまったく別次元の価値基準で新しい生態系が生まれつつある。NFTで高く評価されても、既存のアート界ではまったく評価されないアートがあるだろう。その逆もまたあるはずだ。
アートの値段など、あってなきが如し。買いたい人が10億円の価値を見い出せば、10億円の価値があるとみなされる世界である。
二つの異なるアート業界の価値基準がお互いにどんな影響を与えあうのか。どんな化学反応が起こって、どんな新しいアートが生まれるのか。それが僕の最大の関心である。
神田 桂一
フリーライター。週刊誌『FLASH』記者、ニコニコニュース編集部記者を経てフリー。『スペクテイター』『POPEYE』『ケトル』『yomyom』『週刊現代』など。著書に『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社・菊池良と共著)。2021年11月に初の単著『台湾対抗文化紀行』を上梓した。
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