初めての「仮想通貨体験」文系ライターがNFTアートを買ってみた(前編)

ブロックチェーンという言葉を初めて聞いたのは、確か数年前。旅行先の台湾で、台湾人の友人からだった。
「とにかく凄い。本で読んでみて!」
もの凄く興奮していた。
僕もかろうじて、ブロックチェーンが、日本人エンジニアの金子勇が作った『Winny』に実装されているP2Pの技術を応用したものということは知っていた。だが、僕は文系で、エンジニアでもない。それが何の役に立ち、何が革命的なのかはわからないまま、今日まで過ごしてきた。
ブロックチェーンの技術を使ったものとして、ビットコインやNFTなどがあるというが、投機的な印象が先回りして、あまり興味を持てなかった。
僕は株式投資もしたことがないのだ。だが最近では、子どもが描いたNFTが何千万円で取引されたというニュースまで流れている。高騰するNFTアートの周囲にいる人たちは、純粋にアートを楽しんでいないのではないか。アートを愛する人がこの業界に果たしているのだろうか。そんな疑問も持たずにはいられなかった。
仮想通貨にいたっては、実体のない存在で、一部のネットギークが趣味で買うものだと思っていた。僕が仮想通貨を知った頃、ブロガーとして有名なインフルエンサーがビットコインで大損していたので、なおさら手を出す気にはなれなかった。

何よりも、購入目的がその通貨の利便性などではなく、ほとんどが投機目的であることに嫌気がさして、興味がもてなかった。
ところが先日、記事を寄稿している某ウェブメディアの編集長から、NFTの基盤技術であるブロックチェーンに関するインタビュー記事を書いてくれないかという依頼が舞い込んだ。
その仕事を受けるべきかどうか、僕は迷った。でも、これを機に勉強するのも悪くない。自分では積極的に仮想通貨で儲けたり、NFTをバンバン買ったりという気にはなれないけれど、ブロックチェーンがどのようなものか把握しておくのはライターという職業の務めだろう。そう考えて、執筆を引き受けることにした。
このインタビューは予想外に面白いものだった。記事も無事に掲載された。そして僕は、ブロックチェーンが生み出した仮想通貨やNFTについて、もっと知りたくなった。
■体で理解するために「NFTアート」を買ってみる
そもそもNFTとは何か。ネットで検索すると、「Non Fangible Token(非代替性トークン)」の略語で、替えがきかないものという意味だと書かれている。
今までデジタルの世界では、何でも複製できてしまうのが特徴だった。だが、ブロックチェーンの技術によって、替えがきかない認証を与えることができるようになった。結果、デジタルアートにも「唯一性」が生まれて、そこに新たな価値が生まれた、のだという。
ブロックチェーンに関するインタビューを契機として、僕は実際に仮想通貨の口座を開いて購入し、NFTのマーケットプレイスでデジタルアートを買うまでを実践してみることにした。そこまでして体で感じないと、NFTとは何かを理解できないと思ったからだ。
まず、仮想通貨の取引所と契約して、自分の口座を開く必要がある。とりあえず、「仮想通貨 取引 オススメ」というワードでググってみた。
すると「ビットコイン取引所初心者向け5選!」みたいな記事が山ほど出てきて、読めば読むほど、どの取引所にすればいいのかわからなくなった。ほとんどがアフィリエイト目的で、特定の取引所に誘導するゴミみたいな記事に思えた。仕方なく、直感で、1年間のビットコイン取引量が最も多く、歴史も長いビットフライヤーという取引所に決めた。
さっそくビットフライヤーのトップページにアクセスした。中央にある空欄に、メールアドレスを入力して、登録ボタンを押す。すると確認メールが届いた。そこに書いてあるURLをクリックすると、パスワードの設定画面に飛んだ(このへんは他のサービスと同じだろう)。
次に同意事項にチェックを入れて、二段階認証の設定をすると、メインの画面に入る。
ここからは本人確認だ。スマホのカメラで運転免許証を読み取って、顔をカメラに向けて、横を向いたり、上を向いたりしたら5分くらいで終了した。これだけで口座開設作業は終わりだ。しめて5分程度。あとは承認を待つだけ。
3時間後くらいに承認がおりていた。これで仮想通貨が買える。僕もあのビットコインも買えるようになった。だが、NFTを買うにはビットコインではなく、イーサリアムという仮想通貨を使うのだと、知り合いから聞いていた。そこでさっそく、イーサリアムを4000円分購入することにした。
■あっという間に価格暴落
購入できる仮想通貨の中から「ETH」を選んで購入ボタンを押す。4000円が一瞬にして「0.00825796ETH」という見慣れない単位の数字に変わる。なんかソシャゲ(ソーシャルゲーム)のアイテム課金みたいだなと思った。リアルなおカネと等価交換している実感がない。しかもこの「ETH」を使って、これまた所有の実感がないデジタルアートを買うのだ。
ところが、そんなことを言っている間に、イーサリアムの価格がどんどん暴落していく。僕はとんでもないときに仮想通貨を買ってしまったようだ。考えれば考えるほど減って行くおカネらしきものの価値。
ちょうど先日、ビットコインとイーサリアムが史上最高値を更新というニュースが踊っていた。価格上昇で利益を得た人にとって、今は売り相場なのだろう。なんで、こんなときに……。
おカネというものは、人々の幻想が価値を作り出す。逆にいえば、人々が価値がないと思った瞬間、ただの紙になり、ただのデータになってしまう。暴落していくイーサリアムの価格を見ながら、そんなことを考えた。
でも、暴落したといっても価値がゼロになったわけではない。まだ信頼はあるのだから、仮想通貨はひとつの新しい幻想を作ったという意味で、画期的であろう。
そして、リアルな物質ではないから、信用を失ったとき、取り付け騒ぎなんてことも起こらない。ただバニッシュするだけである。潔い、仮想通貨。
いずれにしても、僕は仮想通貨であるイーサリアムを手にした。次はいよいよ、NFTのマーケットプレイスで実際にデジタルアートを買ってみることにする。
後編はこちら:「値段が高くて欲しい絵が買えない」文系ライターがNFTアートを買ってみた(後編)
神田 桂一
フリーライター。週刊誌『FLASH』記者、ニコニコニュース編集部記者を経てフリー。『スペクテイター』『POPEYE』『ケトル』『yomyom』『週刊現代』など。著書に『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社・菊池良と共著)。2021年11月に初の単著『台湾対抗文化紀行』を上梓した。
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